大判例

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東京高等裁判所 平成4年(ラ)247号 決定

我が監獄法における作業賞与金は、受刑者の作業奨励や釈放時の更生資金支給という政策目的を持ち、釈放時に国家から恩恵的に給与されるものであり、原決定の判断したとおり、釈放時までは単なる計算高にすぎず、受刑者は将来支給を受けうる期待権を有するにとどまり、債権とはいえないことから、差押えの対象とはならないものと解すべきである。

抗告人は、監獄法施行規則七四条により毎月分の作業賞与金の計算高が告知されることをもって作業賞与金の額及び支払が法的に確定される旨主張するが、この告知によってただちにその権利性が肯定されるものではないし、この計算高は釈放の際の給与(同規則七五条一項)によって初めて権利として確定し、また給与前には相続の対象にもならない(同規則七五条二項)ものであるから、抗告人の右主張は理由がない。

また、抗告人は、強制執行における被差押債権は将来発生すべき債権や条件付債権についてもその権利が特定でき、その近い将来における発生が相当確実に期待できれば差押えの対象になり、その額が確定されていることは要しないから、本件においても差押えが許されるべきである旨主張するが、右のとおり、作業賞与金はあくまでも釈放の際の給与によって権利としての性質をもつことになるのであって、将来発生すべき債権や条件付債権のように権利としては特定できるが、その額が確定されていないにすぎないものとは異なり、かつ、前記のような作業賞与金制度の趣旨、目的に照らし、釈放時に差押えが許されると解すべきものでもないから、抗告人の右主張も採用しえない。

(谷澤 松田 今泉)

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